第145章:彼女は元気

彼はほとんど待ちきれないように携帯を取り出し、見ると、見知らぬ番号からの着信だった。

この番号は見たことがなかった。

まるで冷水を浴びせられたかのように。深山義彦は氷の穴に落ちたような気分になり、先ほどまでの興奮はすっかり消えていた。

彼はそのまま携帯の画面を見つめ、着信音が長く鳴り続けた後でようやく電話に出た。

「もしもし……」

すぐに電話から少女の澄んだ声が聞こえてきた。

「こんにちは、深山さんでしょうか?」

少女の声はあまりにも見知らぬもので、深山義彦はしばらく返事ができなかった。

「賀川さんに頼まれて来ました。あなたに何かを届けるようにと言われました」少女は電話の向こうの男性が返事をしないのを見て、もう一度言った。

そして今度こそ、深山義彦はようやく口を開いた。