第161章:彼女が待ち望んだ幸せが実現した

しかし彼女は気にしていなかった。たとえ自分の体を傷つけることになっても、彼女は喜んで受け入れるつもりだった。彼女は赤ちゃんを愛していた。それは彼女の人生で最も大切な人であり、永遠の家族だった。

葉山大輔は夕食を持ってきた。簡単な食事で、油っこいものは彼女も食べられなかった。

彼は賀川心を起こして、ベッドの頭に寄りかからせ、お弁当の蓋を開けて、中からスープをスプーン一杯すくい、口元で軽く二回息を吹きかけた。

「ほら、心姉、これを飲んで」

賀川心は口を開け、男性に一口一口と食べさせてもらった。スープは甘く、彼女の心まで甘くなった。

彼女は微笑み、目の前の男性、彼女の夫、これからの人生の伴侶をじっと見つめた。彼と一緒になってから初めて、こんなに自分を大切にし、愛してくれる男性がいることを実感した。彼がもっと早く彼女の人生に現れていたらよかったのに、そうすれば彼女は深山義彦と何の関わりも持たなかったかもしれない。