第215章:彼女の過去1

賀川心:……

賀川心は傍らに立って少し言葉を失っていた。しかし、彼女が叶山大輔に自分の過去について何も話していなかったのも悪かった。彼女のこの叔父は、どれほど自己中心的で利己的な人間かを言いたくもなかった。

「一緒にダイニングで食事しましょう、叔父さん……」と言いながら、葉山大輔は手で招くジェスチャーをして、非常に丁寧な態度を見せた。

高橋弘人は顔中に笑みを浮かべ、すでに心の中で、この甥の助けを借りて将来必ず金持ちになり、人生の頂点に立てると考えていた。

高橋奈々は憧れと羨望に満ちた表情を浮かべていた。

心の中のシンデレラの夢が現実で活性化された。

この義兄は、背が高くてハンサムで、お金があり、能力があり、何より一目で従姉妹に優しいことが分かる。

彼女はこんな男性に出会えたらどんなに素晴らしいだろうと思った。でも、どうやってこんな男性に出会えるのだろう。義兄はもう姉のものだ。夜都には義兄よりもっと優秀でお金持ちの男性がいるのだろうか?