葉山大輔は大きな魚の切り身を取って賀川心の茶碗に入れ、それからさらに彼女のために何匹もの海老の殻を剥いた。彼女は最近よく吐き気があり、食欲が良くなかったが、ようやく吐き気が収まり、妊娠の症状も軽くなってきたので、彼は彼女にもっと食べるよう促していた。
賀川心は「もうお腹いっぱいだよ、もう食べられないわ、大輔」と言った。
これ以上食べたら豚になってしまう、今でさえ52.5キロあるのに。出産時には60キロを超えるだろう、彼女は162センチしかないのに、その体重を想像するだけで恐ろしい。縁子を妊娠していた時は出産時でも55キロだったのに。
「だめだ、まだ茶碗一杯しか食べていないじゃないか」
そう言って葉山大輔はさらに彼女のために茶碗一杯のご飯をよそった。そして自分は箸を置いて彼女が食べるのを見つめた。