賀川心は診察室から出てきた。妊娠15週目に入り、ようやく妊娠中期に入ったので、頻繁に外出できるようになった。彼女は手に検査報告書の束を持っていた。十数枚あり、エコー検査や心電図などの報告書の他にも、血液検査のデータがたくさんあった。
幸い、すべてのデータは良好で、正常範囲内だった。赤ちゃんの発育も非常に良く、すでに11cmの身長があり、あと1、2週間もすれば、胎動を感じられるようになるだろう。
「雨子、帰りましょう」賀川心は手にした報告書をすべて白山雨子に渡し、持っていてもらった。彼女は大きなコートを着て、自分の体を包み込み、少しだけ膨らみ始めたお腹を隠した。
初めての母親ではないが、毎回の検査でやはり非常に緊張し、正常なデータを見るまで安心できなかった。
「葉山さんは検査が終わったら会社で待ち合わせるって言ってなかった?」白山雨子が思い出させると、賀川さんは物忘れがひどくなったように感じた。30分前に電話があったばかりなのに、忘れてしまうなんて。