この午後ずっと、縁子はお母さんの側にくっついていた。お母さんがどこへ行っても、彼女はついていった。寝るときでさえもお母さんに付き添ってもらわなければならなかった。
賀川心は縁子を近くの噴水公園に連れて行って遊ばせ、夕方になってようやく帰ってきた。そして帰ってくるとすぐに、すでに玄関で待っていた葉山大輔の姿が見えた。
葉山大輔はポケットに両手を入れ、ドアに寄りかかって立ち、スマホを手に何か重要なメッセージに返信しているようだった。
そのとき、突然甘い声が聞こえてきた。
「パ...パ」遊び回って帰ってきたばかりの縁子はとても嬉しそうで、葉山大輔を見るなり大きな声で呼んだ。お母さんがそう呼ぶように言ったからだ。
葉山大輔は急に顔を上げ、手にしていたスマホを落としそうになった。彼は白山雨子が抱いている縁子を見て、目に喜びの色が浮かび、信じられないという表情を浮かべた。