第274章:デートの最中

二十分も経たないうちに、レストランは満席になった。

賀川心も、ここに来る人々はほとんどがカップルであることに気づいた。

もちろん、彼女と葉山大輔もカップルの一組だ。

「私たち、デートしてるのかな?」賀川心は淡く微笑み、眉目に濃い喜びが滲んでいた。

彼女は葉山大輔を見たが、彼の視線が彼女の後ろのどこかに注がれていることに気づいた。

「どうしたの?」

彼女は彼の視線の先を追い、見ると、確かに見覚えのある姿があった。葉山大輔の妹、葉山詩織だ。

葉山詩織は誰かを待っているようで、一人で頭を垂れて座り、スマホをいじっていた。しかも、いつもと違う服装で、とても淑女らしく、お嬢様のように着飾っていた。

「彼女、恋をしてるんじゃない?」賀川心は淡々と言った。以前、梨園で葉山詩織とトラブルがあったが、彼女がまだ学生であることを考え、謝罪もした。葉山大輔と葉山のお父さんの顔を立てて、彼女とは気にしないようにしていた。