あの老いぼれは自分と30年も一緒に暮らしてきたのに、最後はこんなにも薄情だった。彼女は彼のために3人の子供を産んだのに、それでも葉山大輔には敵わなかった。
彼女にとって、この恨みをどうやって飲み込めというのか。
彼女は決めていた。葉山史郎というろくでなしが数年後に病死したら、葉山剛、葉山哲也、そして詩織の姓をすべて変えて、彼女の姓である白野にし、白野家の一族に入れ、白野家系図に加えるつもりだった。そして葉山家を完全に潰し、葉山大輔と夏目静子という悪巧みをした母子に、残りの人生を乞食として過ごさせてやろうと。
ただ、最初のステップである詩織を楚山家に嫁がせる計画はもう不可能になってしまったのだろうか?
いや、白野露は自分の指をきつく握りしめ、指先がほとんど手のひらに食い込むほどだった。彼女の目に宿る憎しみはさらに濃くなっていた。