第289章：もし子供に継母がいたら

なんと滑稽で、また何と悲しいことだろう。悲しいのは彼女のかつての恋愛が、最後にこんな滑稽な形で終わったことだ。

吉田景祐は軽く咳を二回して、再び賀川心の隣に座っている縁子に視線を向けた。縁子は彼がまた自分を見ていることに気づくと、また抱かれるのを恐れて、急いでお母さんの胸に潜り込んだ。

「お母さん……」縁子は小さな手でお母さんの胸をたたいた。

賀川心は子供の頭をなでながら、「縁子、いい子だね。お眠りする？」

縁子はお母さんの言葉を理解したかのように、急いでソファに横になり、眠るふりをした。しかし、その澄んだ瞳はキョロキョロと動き、全く眠れそうにない様子だった。

賀川心は再び吉田景祐を見つめた。彼女は自分のこめかみを揉みながら、顔には他人の不幸を喜ぶ表情も、大きな恨みが晴れた喜びもなく、ただ悲しみに満ちた瞳があるだけだった。