第295章:旧友

病院で、深山義彦はベッドの頭に寄りかかって座り、手には点滴が繋がれていた。今日は入院最終日で、今日が過ぎれば退院できる。

彼は家の使用人たちを母親の世話に向かわせ、自分の面倒を見る人はいなかった。介護士も頼まず、空腹時には看護師に食べ物を持ってきてもらうだけだった。それだけのことだ。

ここでの数日間、彼は本当に孤独と寂しさを感じていた。話し相手もなく、心の痛みを打ち明ける相手もいない。まるで天に見放された人のように、これからもずっと一人で歩んでいくのだろう。

彼は看護師にカーテンを全て閉めさせ、病室は密閉された牢獄のようだった。今の彼の気持ちはまさに閉じ込められたようだった。神が一つのドアを閉じれば、窓を開けてくれるというが、彼にはその窓が見えなかった。彼の周りは暗闇、底なしの暗闇だけだった。