市長は花嫁の手を花婿の手に渡し、そしてマイクを取って祝福の言葉を述べた。
彼は夜都で最も高い地位にある人物であり、自分の娘以外では初めて長老として花嫁とレッドカーペットを歩いた。本来ならばこれは花嫁の父親が行うべきことだった。
会場には再び雷のような拍手が響き渡った。
しかし、未婚の少女たちの中には溜息をついたり眉をひそめたりする者もいた。彼女たちには、どうしてこのような再婚した女性に何の取り柄があるのか、なぜ夜都最大の名家に嫁ぐことができるのか、そしてなぜこんなに優秀な男性を手に入れることができるのか、理解できなかった。
賀川心は葉山大輔の腕を組み、二人は祝福の声に包まれながらゆっくりと中央の舞台へと歩いていった。
それは丹念に飾り付けられた舞台で、周囲にはピンク色のバラが何千、何万と咲き誇っていた。ハート型に配置され、中央には巨大な3D背景スクリーンがあり、そこには美しく幻想的な風景が映し出されていた。それらの風景はまるで本物のようだった。