お城
一日中忙しく過ごした後、皆疲れていた。夜の10時になると、ほとんどの部屋の明かりが消えていた。
夏の夜はいつも最も明るい。満天の星空に、満月が空高く掛かっている。月明かりに包まれたこの古いゴシック様式のお城は、朧げで神秘的な魅力を放っていた。
賀川心は3階のバルコニーに立っていた。バルコニーには床から天井までの窓があり、視界は抜群だった。遠くの道路も、満天の星空も眺めることができた。
彼女は片手で手すりを握り、もう一方の手を大きく膨らんだお腹に優しく当てていた。
妊娠7ヶ月のお腹と、約60キロの体重で、彼女は全体的に動きが鈍くなっていた。今日の結婚式で疲れていたが、それでも彼女は幸せだった。
彼女はついに正式にこのお城の奥様となり、彼女を愛し大切にしてくれる夫と結婚した。