第328章：なぜあなたにまとわりついているの？

葉山大輔は眉をひそめ、賀川心の方を振り向いて見つめ、そして彼女の肩に手を置き、しっかりと抱きしめた。まるで何かを慰めるかのように。

「大丈夫だよ、心姉。本当に何でもないんだ。ただ仕事のことで悩んでいるだけだから。食事に行こう」

そう言うと、再び彼女の手を引いてレストランに入った。

賀川心はため息をついた。彼女は馬鹿ではない。彼が本当のことを言っていないのがわかったし、彼が心乱れているのも見て取れた。しかし彼は心の中の憂鬱を話したくないようだった。

二人はこうして黙々と食事をした。その間、葉山大輔はいつものように賀川心におかずを取り分けていたが、二人とも沈黙を守っていた。

夜になり、葉山大輔は一人で部屋のソファに座っていた。彼は目を半分閉じ、両手を頭の後ろに置いて、とても疲れているようだった。そして、いらだっているようでもあった。