ホールにはまだ点滴を受けている子供たちが多くいた。母子病院は主に産婦と子供が多く、注射を受けた後ずっと泣いている子供も多いため、とてもうるさかった。
縁子は自分と同じくらいの年齢の子供たちを見て、何かを悟ったかのように、突然大声で泣き始めた。
注射はいや、注射はいやだ。
小さな彼は注射が大嫌いで、注射器を見るだけで怖がって首をすくめていた。
葉山大輔は縁子を看護師の前に連れて行き、持ってきた薬を看護師に渡した。
「子供に点滴をお願いします、ありがとう」
縁子は泣き叫び、小さな手でお父さんの服をしっかりと掴み、両足もバタバタと動かして必死に抵抗した。
注射を怖がるすべての子供のように。
葉山大輔は縁子をしっかりと抱きしめるしかなく、彼がこれ以上動き回らないようにした。こんなに動いていては注射できない。