第356章:再び彼を引き止める

彼はまず小さなトラックを持ってきて、妹の前でちらっと見せた。妹が反応しないのを見て、次に小さな動くロボットに変えた。ボタンを押すと動くタイプのロボットだ。

彼は何度もボタンを押したが、妹はただまばたきをするだけで、特に反応を示さなかった。泣くこともなければ笑うこともない。

縁子は突然口をとがらせた。面白くない、妹は全然面白くない。彼はおもちゃを置くと、お母さんのところへ行き、小さな両手でベッドを叩き続けた。

「お母さん……」縁子は大きな声で呼びかけ、ベッドに横たわるお母さんをじっと見つめた。彼はお母さんがずっとベッドから出てこないことに気づいた。ずっと寝ているだけだ。

「縁子、いい子ね。これからはお兄ちゃんだから、妹の面倒を見るのよ、わかる?」賀川心は手を伸ばして子供の柔らかい髪を撫でた。