第376章:どうしても追い払えない

「縁子……」木下奈々は門の前に立って大声で叫んだ。声は大きかったが、少し距離があったため、縁子には聞こえなかった。

「何を叫んでるんですか!」白山雨子が再び駆け寄り、両手を腰に当て、鉄門の側に立った。彼女は何度も言ったのに、この女性に帰るよう、ここで騒がないようにと。彼らを心配させるだけだし、それに葉山さんと奥様、そしてお嬢さんがもうすぐ帰ってくるところだった。

木下奈々の視線は中で遊んでいる縁子から離れることなく、その眼差しには言葉にできないほどの興奮と喜びが溢れていた。

「あれは私の孫よ、私の孫なのよ」彼女は何度も繰り返し、白山雨子と警備員たちをうんざりさせた。

「いい加減帰るんですか、帰らないんですか!」警備員は長い棒を手に持っていたが、相手は中に入ろうとしているわけではなかったので、この年配の女性を殴りつけるわけにもいかず、ただ脅すことしかできなかった。