第433章:喜ぶ者あり、泣く者あり

ここに至って、裁判はすでに最終判決の段階に入っていた。裁判長の槌の音が再び響き渡ると、会場にいる全員が一斉に立ち上がった。

賀川心はなぜこんなに早く終わるのか分からなかった。一日午前中かかると言われていたのに、まだ1時間しか経っていないのに。

彼女は焦りながら周囲の人々を見回し、目には助けを求める表情が浮かんでいた。彼女は皆が一人一人、台上の裁判長を見つめ、裁判長が判決文を読み上げるのを待っているのを発見した。木下奈々を見ると、彼女は満面の笑みを浮かべており、まるで判決結果を知っているかのように、言いようのない喜びと得意げな様子だった。最後に彼女は自分の夫、葉山大輔を見た。

葉山大輔もこの時、妻を見つめていた。彼は唇を強く噛み締め、目には心配と苦痛の色が浮かんでいた。彼は彼女の無力で不安な様子を見て、まるで万矢に心を貫かれたように、胸が締め付けられる思いだった。