第461章:一緒に帰ろう、いいかな

彼は小さな拳を握りしめ、抱きかかえている見知らぬ叔父を力いっぱい殴っていた。

「縁子、泣かないで、泣かないでね!」木下奈々は子供がまだ泣き続けているのを見て、急いであやしながら、自分の息子に言った。「義彦、私とあなたの叔父さんは先に帰るわ。この賀川心は気が狂ったみたいだから、あなたが彼女を病院に連れて行ってあげて。」

木下奈々は手を振り払い、そのまま出口へ向かって歩き出した。

彼女が来た目的は縁子を連れ戻すことだった。今、子供は手元にあるので、彼女は任務を完了したのだ。あの女性については、彼女は完全に狂っていて、もうあの狂った女と口論したくなかった。

木下奈々と木下和也はすぐに出て行き、振り返りもしなかった。

部屋からはまだ賀川心の鋭く嗄れた泣き叫ぶ声が聞こえていたが、彼らは聞こえないふりをして、そのままエレベーターのボタンを押し、泣き続ける縁子を抱えてエレベーターに乗り込んだ。