深山義彦と木下奈々は同時に入り口を見つめた。かつては可愛がっていたが、今では彼らにとってどうでもよい子供を見ていた。
深山宏樹は祖母と父親がいるのを見て、入り口に立ち、小さな唇をきつく結び、まるで中に入る勇気がないかのようだった。
木下奈々が「宏樹……」と呼ぶまで。
彼はゆっくりと歩み寄り、祖母の側に立った。しかし、祖母に抱っこしてもらおうと手を伸ばすことはなかった。祖母が抱いてくれないことを知っていたからだ。
彼はまた周りを見回し、縁子の姿を探していた。
普段は二人一緒に遊び、夜の8時か9時まで遊んでから寝るのだが、今日は縁子の姿が見えなかった。
木下奈々はようやく手を伸ばして子供の頭を撫でた。この子は今ではずいぶん背が高くなっていた。見た目はそれほど美しくないが、健康で、少し物分かりも良くなっていた。