「そうだよ、大輔、お父さんは昨晩一晩中考えたんだが、やはり弟を助けるべきだと思う。彼は一時の迷いで道を踏み外し、間違った道を歩んでしまったが、今は改心する気持ちがある。私たちは彼に希望を与えるべきだ」
葉山様は重々しく言った。その老いた目に突然涙が浮かび、しばらくして、自分の目を手で拭った。
葉山大輔は父親の一挙手一投足を見つめ、ティッシュを一枚取り出して渡した。
そして温かい白湯をもう一杯注いだ。
彼は淡く微笑み、その笑顔には少し苦さが混じっていた。
「わかりました、お父さん...この3億ドルは彼に渡します。でもそれ以上はありません」葉山大輔は冷たい声で言った。
この時、彼はもう取り繕っても見て取れた。父親が最も愛している息子は自分ではなく、父親が一手に育てた葉山剛だということを。