第524章:この叔母さん見覚えがある

「子供は人見知りなのよ」傍らにいた木下奈々が大事な孫を自分の腕の中に引き寄せた。この子は普段とても活発なのに、今はどうしたことか、人に挨拶したがらない。

「おばさん」

そのとき、傍らに立っていた深山宏樹が突然口を開いた。彼は小さな目をパチパチさせながら木下薫を見つめ、それから山田真理子を見て、小さな両手で時々服の裾をつまんでいた。

木下奈々と木下雅子は同時に固まり、顔を見合わせた。彼女はこの子にそう呼ばせたわけではないのに、どうして…

「この子は?」木下薫は傍らにいる宏樹を指さした。この子は縁子とほぼ同じ年齢に見えるので、双子かと思ったが、見た目は大きく異なっていた。この子は肌が少し黒く、目も小さく一重まぶたで、醜くはないものの、縁子という名の子供の美しさには遠く及ばなかった。