「レントゲンを見る限り、魚の骨が喉に刺さって急性細菌感染を引き起こし、高熱の原因になっていますね。骨はすでに取り除きました」医師は小さな袋を羽柴明彦に渡した。「今から点滴室で点滴を受けて、熱が下がったら退院できますよ」
羽柴明彦は手を上げて袋の中の魚の骨を見た。長さ2センチもある。こんなに大きな骨をどうやって飲み込んだのか、それ自体が謎だった。
「これからはもっと注意してください。魚の骨が喉に刺さるのを小さなことだと思わないでください。どんな小さなことでも深刻な結果を招く可能性があります」
点滴室で、夏目芽依はコートを羽織っていたが、それでも体中が冷えるように感じていた。
羽柴明彦が入ってくるのを見て、彼女は無理して元気を出した。
「犯人が見つかったよ」
羽柴明彦は袋を彼女に見せた。「正直に言って、わざと飲み込んだんじゃないの?」