「これをどうぞ」夏目芽依は小豆汁をテーブルに置き、手を背中に回して、おとなしく横に立った。「熱いうちに飲んでね〜」
羽柴明彦はちらりと見て、「鈴木ママが作ったのか?」
「違うよ、これは私が作ったの」夏目芽依はスプーンで軽くかき混ぜ、中に豆の残りがないか確認した。「上手くできてないかもしれないけど、特別に持ってきたの、味見してみて」
「上手くできてないなら、なぜ俺に味見させるんだ」羽柴明彦の口調はまだよくなかった。「持って行け」
謝りに来たのなら、謝る姿勢を見せるべきだ。
夏目芽依は身を屈め、彼の側に寄った。「無断で家出したこと、あなたに連絡しなかったのは私が悪かった。次は絶対にこんなことしないって約束する」
「他には?」羽柴明彦は振り向いて、彼女の目を見つめた。