夜、夏目芽依が家のドアを開けると、中から聞き慣れた笑い声が聞こえてきた。
「芽依、やっと帰ってきたわね。一日中どこに行ってたの?面白いことをたくさん見逃したわよ」菅原萤子は彼女の手を引き、ソファに座らせた。
夏目芽依は困惑した表情で「お母さん、どうしてここに?」
「今朝、私が出かけるときにちょうど会ったの。羽柴さんのお母さんだって言うから、家に招いたのよ」夏目智子は説明した。まさか一日中居座ることになるとは思わなかった。
「あなたを責めなきゃいけないわね、芽依。私とあなたのお母さんは親戚同然なのに、以前は正式に会ったこともなかった。せっかく来たのだから紹介してくれてもよかったのに、隠していたなんて。今朝の散歩で偶然会わなかったら、いつあなたのお母さんと知り合えたか分からなかったわ」