第142章 恥ずかしい、恥ずかしい

帰りの車の中で、夏目芽依は助手席に座り、息をするのも恐ろしく、うっかり隣の人を怒らせないように気をつけていた。

今日は本当に大恥をかいた。よく考えてみれば、彼女は幼い頃からこれほど多くの人の前で公に恥をかいたことはなかった。

しかし、振り返ってみれば、すべてが彼女一人のせいではなかった。

「お嬢様、この件は私では対応できません。少々お待ちください。マネージャーに状況を報告してきますので、必ずご満足いただける対応をいたします」

女性スタッフが小走りで去っていくのを見ながら、羽柴明彦が前に歩み寄った。

「ここで何をしているんだ?」

「え?何もしてないよ」夏目芽依は手を背中に回し、バッグを隠した。先ほど彼に携帯を無くしたと言ったとき、彼の表情があまり良くなかったので、この件に関わりたくないのだろうと思い、黙ることにした。