年に一度のチャリティーパーティーが、今夜開催される。
例年通り、今年のチャリティーパーティーの会場も市内で最も高級で壮麗なリトウホテルに設定され、百名以上の来賓が全員正装で出席していた。
夏目芽依は羽柴明彦の腕に手を添え、数百万円相当のジュエリーを身につけ、レッドカーペットの前に立ち、目の前のフラッシュで目がくらみそうだった。光で目が痛くなっても、できるだけ目を大きく開き、明るい笑顔を作らなければならない。
「寒くない?」羽柴明彦は小声で尋ねた。
今はまだ気温が低く、しかも夜だ。男性たちはみなスーツを着ていて、それほど厚くはないが、少なくとも長袖長ズボンで寒さをしのげる。女性客はもっと悲惨だ。美を競うために、ほとんどがノースリーブや肩出し、背中出しのロングドレスを着ている。もしカメラの解像度が十分高ければ、彼女たちの腕に立った鳥肌が見えるだろう。この3D効果は最高の化粧パウダーでも隠せない。