第283章 価値観の相違

羽柴明彦が入ってくるのを見て、金田直樹はすでに心の準備ができていた。彼の可愛い妻を朗星から追い出したばかりだから、彼の性格からして、怒鳴り込んでくるのは当然だろう。

「今日はちょうどいいタイミングだ。誰かが良いワインを二本持ってきてくれたんだ。一杯どうだ?」

羽柴明彦はバーカウンターに座り、「いいね」と答えた。

「君の伯父さんの土地で問題が起きたって聞いたよ。そこから文化財が出土したなんて、本当に珍しいことだ」金田直樹はグラスにワインを注ぎ、羽柴明彦に渡した。

「情報通だな」羽柴明彦はワインを一口飲んだ。「2000年ものだ」

「すごいな〜」金田直樹は親指を立てた。「さすがワイン通だ。一口飲んだだけで何年のものかわかるなんて」そう言ってワインボトルを持ち上げると、そこには1995年と明記されていた。