中村海斗は厨房に戻ると、いつの間にか携帯に友達申請が届いていることに気づいた。
「金田佳凛です。覚えていますか?昨日、家まで送ってくれましたよね。」
彼は承認すると、すぐに新しいメッセージが届いた。
「昨日は本当にありがとうございました。お礼に食事でもご馳走したいのですが、今日は時間ありますか?」その後に笑顔の絵文字が続いていた。
中村海斗は頭をかきながら考えた。自分は料理人なのだから、他人が食事をする時間こそが自分が最も忙しい時間だ。どうして暇があるはずがあるだろうか。計算してみると、休みまであと三日ある。「今日は無理だけど、来週の木曜日ならいいよ」
三日後まで先延ばしにされたものの、少なくとも確定した日時だったので、カレンはとても満足していた。少なくとも彼が優柔不断な人間ではないこと、そして自分に対する印象も悪くないことの証明だった。