第296章 彼らに任せよう

夏目芽依は自分のすべての銀行カードの残高を調べ尽くし、がっかりした。実際、この期間働いていたので少しの貯金はあったが、以前に病院で佐藤凡太に一部を渡し、今は給料も入っていないため、手元にはほんの少ししか残っていなかった。借金と比べれば焼け石に水だった。

「お金のことは私が何とか考えるから、家はまだ売らないで」と夏目芽依は言った。「うちの古い家はもうなくなったし、もしこの家まで売ってしまったら、あなたはこれからどこに住むの?」

「私は大丈夫よ、あなたの叔父さんのところに身を寄せてもいいし、これは一時的な困難だから、いつかは良くなるわ」

夏目芽依はそうは思わなかった。40代の家族持ちの男が外でギャンブルをし、高利貸しからお金を借りるなんて、裕福な家庭でもこんなことがあれば頭を抱えるだろう。まして彼らは普通の家庭で、目立った背景も莫大な財産もなく、真面目に生活すれば平穏に暮らせるかもしれないが、こんな無茶は耐えられない。