夏目芽依は書斎に入り、手に持っていた袋をテーブルの上に置いた。メモと一緒に。
「昨日あなたが帰った後、柴田昭がオフィスであなたをずっと待っていたの。これは彼からのプレゼントとメモよ。あなたに渡してほしいって頼まれたの」と彼女は言った。
「柴田昭って誰だ?」と羽柴明彦は尋ねた。
「以前、工事現場で騒ぎを起こして、あなたが会社に呼びつけた建設作業員よ」
「ああ、わかった」
夏目芽依はドアのところまで行き、振り返って一瞥した。プレゼントとメモは羽柴明彦によって無造作に脇に放り投げられたままで、全く手をつけられていなかった。これは彼女が以前想像していた結末とほぼ同じだった。彼らのような人間は彼の目にはこのような扱いしか受けるに値しないのだろう。おそらく心の準備ができていたせいか、今回は彼女の心にそれほど失望はなかった。