ドアを再び開けると、夏目芽依は鋭く感じ取った。何人かが密かに目を上げて自分を観察していることを。しかし、彼女に気づかれることを恐れてか、すぐに視線を引いた。
腹が立つ、本当に腹が立つ、死ぬほど腹が立つ。彼女は心の中の怒りを必死に抑えようとしたが、もはや抑えきれそうになかった。今の夏目芽依は、胸の中に時限爆弾を抱えているようで、いつ爆発してもおかしくない状態だった。
ここは公共の場だし、しかも当の本人はここにいない。怒りをぶつけるにしても、相手を間違えてはいけない。
「羽柴明彦!この大バカ者!」
夏目芽依が怒りに満ちた様子でドアを押し開けるのを見て、羽柴明彦と木村城太はその場で固まった。
今回、夏目芽依は彼に少しの情けも見せなかった。声は驚くほど大きく、ドアを開けるなり叫んだので、外のオフィスフロアの社員たちにもはっきりと聞こえた。