「あなたはまだこのままね、少しも変わっていないわ。」林田希凛は人差し指を顎に当て、目を細めて向かいに座っている羽柴明彦を見つめ、深くため息をついた。「結婚したら少しは性格が収まるかと思ったけど、完全に幻想だったわ。」
羽柴明彦の目には困惑の色が浮かんでいた。最近、彼はよくそうだった。
「もういいわ、どうせ私が何を言っても受け入れないんだから」と林田希凛は言った。「言わない方がましね。」
彼女のこの言葉は聞き覚えがあるような気がした。おそらく自分に対して同じことを言った人は一人や二人ではないだろう、と羽柴明彦は思った。
「言わなければ、私が受け入れるかどうかわからないだろう。」
「だって、あなたの性格をよく知っているから。誰が何を言っても、自分が聞きたいことだけを選んで受け入れて、他のことは耳を素通りする風のように、過ぎ去ってしまうだけ。」林田希凛はため息をついた。彼女は羽柴明彦のことをよく理解していた。