第422章 泥棒のように

羽柴明彦はまだ手を放そうとせず、「さっきのは危険だったって分かってる?もし俺の反応が遅かったら…」

片桐恭平は振り向いて、彼を見つめた。「もしあなたがいなければ、さっきの事態は起こらなかった」そう言うと、再び夏目芽依に向かって言った。「降りろ」

夏目芽依は二人を見上げ、顔にはまだ恐怖の表情が残っていた。

「何か話があるなら、ちゃんと話せばいいだろう?彼女を怖がらせてるぞ」と片桐恭平は言った。

「私が彼女を怖がらせようがどうしようが、お前に何の関係がある?」羽柴明彦はついに体を向け、片桐恭平を直視し、目には怒りを宿していた。「今日もそうだ。夏目芽依は俺が連れてきたんだ。俺の許可なく彼女を連れ出す権利が、お前にあるのか」

「理解不能だな」

「彼女は帰りたがっていた。俺はちょうど道が同じだから送っただけだ。何か問題でも?」片桐恭平は反問した。