「実は前からあなたと二人きりで会いたいと思っていたの。でも最近、あなたが明彦くんとの間の問題で感情的に大きな影響を受けていて、時間をかけて落ち着く必要があると分かっていたから、あまり邪魔をしなかったの」菅原萤子は片手で頬杖をつき、目を輝かせながら向かいに座っている夏目芽依を見つめた。「最近は気分が良くなった?」
「うん、だいぶ良くなったよ」夏目芽依はうなずき、目の前に置かれたフルーツ野菜ジュースを一口飲んだ。
二人が今いるこの店は最近流行り始めたヘルシーレストランで、有機野菜だけを使った自然健康料理を提供していると謳い、中高所得層の健康志向の人々から人気を集めていた。しかし、フルーツ野菜ジュースを一口飲んだだけで、夏目芽依は決めた。死んでも自分からこんな場所に食事をしに来ることはないだろうと。