「言いたくないなら別にいいよ」と羽柴明彦は言った。「他人をかばいたいなら、その責任はあなた一人で背負うことになるだけだ」
夏目芽依は彼の方を向いた。「あの人とは何の関係もないわ。私はもう確認したから」
「そんなに彼を信じているのか?」羽柴明彦は目を細め、眉を上げた。
「彼は...そんなことをする理由がない...」夏目芽依は弱々しく言った。片桐恭平が自分のアクセサリーを取っておきながら、死んでも認めないなんてことがあるだろうか?それは笑い話にもならない。彼女はそんなことを考えたこともなかった。
「それならば、このジュエリーセットはあなたが買い取ることになる」と羽柴明彦は続けた。「今回の目玉商品として、たった一度の展示機会しかないのは業者にとって残酷かもしれないが、彼らも同意するだろう」