「決めたわ、骨髄ドナー登録をする」夏目芽依は断固として言った。
「何?」夏目智子は箸をほとんど落としそうになった、「あなた、骨髄ドナー登録をするって言ったの?」
「うん、今日行くわ。あなたたちがアメリカから帰ってくる頃には、結果はきっと出ているはず」夏目芽依は言った、「体の状態が許せば、彼に骨髄を移植したいの」
この「彼」が高橋山雄を指していることは言うまでもない。
「芽依、あなた自分が何を言っているのか分かっているの?」夏目智子は完全に食事が喉を通らなくなった、「骨髄移植はあなたが想像しているほど簡単なものじゃないわ、複雑なプロセスを経る必要があるの。あなたは小さい頃から一番痛いのが苦手だったじゃない、注射するたびにずいぶん時間をかけて説得したものよ。骨髄移植は注射一本で済むものじゃないのよ」