「あぁ、もうダメ…」夏目芽依は身をかがめ、膝に手をついて大きく息を吐いた。「本当にもう登れない、疲れ果てたわ」
前を歩いていた金田凛香が振り返った。「お嬢さん、まだ半分も登ってないのよ。さっきハイヒールを履いた美女が颯爽と歩いていたでしょう。私たちより速かったわ。きっと彼女はもう山頂近くまで行ってるわよ。あなたはまだまだじゃない」
「本当にもうダメなの…」夏目芽依は額の汗を拭うと、思い切って階段に腰を下ろした。「ちょっと休ませて」
金田凛香は彼女の様子を見て、自分のバックパックから水のボトルを取り出し、キャップを開けて彼女に差し出した。
「あなたの体力はひどいわね。大学の頃から運動嫌いだったけど、今は毎日オフィスに座りっぱなし。このままじゃすぐに太るわよ」そう言いながら夏目芽依のお腹をつまんだ。「ほら、ちょっとつまむだけでお肉がたっぷり」