第577章 記念日

「何?」夏目芽依は驚いた。

「この数日間は私たちと一緒に他の宣伝活動に参加する必要はないわ。今のあなたの主な仕事は風光グループに行ってこの羽柴さんに会い、大きな契約を取ることよ」と田中晴は言った。「あなたの役割については、他の人に代わってもらうわ」

夏目芽依はそのフィギュアのキャラクターを演じることにそれほど興味があったわけではなかったが、風光グループに行って契約を結ぶことと比べれば、やはりここに残って皆と一緒に働きたかった。

やっと普通の社員になれたと思ったのに、また特別扱いされることになるなんて。羽柴明彦は一体何を考えているのだろう。

「とにかく、この重要な任務はあなたに任せるわ。私たちを失望させないでね〜」田中晴は彼女の肩を軽くたたいた。

その日の夕方、仕事が終わると、運転手は夏目芽依を直接家に送らず、高級レストランの前に車を停めた。