第73章 魂不守舍

「うん!」笹木蒼馬は彼女の謝罪を拒否しなかった。

石塚千恵はこの人が普通の人とは違うと感じた。普通の人なら謝罪を受け入れる時に「大丈夫」とか「もういいよ」と言うか、あるいは受け入れずに怒りをぶつけるものだ。

笹木蒼馬の反応はいつも当然のようで、実際彼は当然の対応をしているのだ!

でも彼女は次に何を言えばいいのか?謝罪を続けるべき?それはあまりにも味気ない。

それとも直接電話を切る?それも失礼だし、謝罪の誠意が大幅に損なわれる。

どちらの選択肢も居心地が悪い!

深い罪悪感と極度の緊張の衝撃の中、石塚千恵は頭が真っ白になって誘いの言葉を口にした。「笹木社長、明日の夜、お食事にご招待させてください。本当に申し訳ありません、どうかお越しください!」

「願ってもないことです!」