第87章 ランボルギーニに乗る金づる

石塚千恵が電話を切ったところで、大江さんが息を切らして走ってきた。「千恵ちゃん、探してたのよ。どうしてここにいるの!」

「どうしたの、大江さん!」

「あの伊藤奈々の彼氏が来てるわ。今、田中晴人のオフィスにいるのよ!」大江さんは焦って言った。

石塚千恵は本当に驚いて、信じられないように目をパチパチさせた。「ねえ、私が嫉妬してるって思う?伊藤奈々にそんなに魅力があるの?本当に男が彼女にお金を使いたいと思うの?」

大江さんは石塚千恵以上に信じられない様子だった。「私もあなたと同じ考えよ。どんな金持ちの男が彼女に目をつけるのか分からないわ。でもこれは事実なのよ。あの田舎のおばさんみたいな世間知らずの彼女が、大金持ちを釣り上げたのよ」

「どれくらいの金持ち?」石塚千恵は大江さんが少し大げさだと思った。伊藤奈々がどんなに運が良くても、せいぜい養豚場を経営する成金を釣り上げる程度だろう。どれほどの金持ちを釣り上げられるというのか?