呆然としたのは、橋口俊樹の家にそのような関係があるからではなく、実際にはないからだった。義母は某病院の外科医で、この点では多少助けになるかもしれないが、それ以外は彼女にはそんな力はない。たとえあったとしても、彼女を助けることはできないだろう。
橋口俊樹の会社はある程度の規模があるが、彼は原則を持って仕事をしており、接触を避けられるなら必ず避ける。そうしなければ、人情という借りがどれだけ増えるか分からず、返しきれなくなる。
だから彼はさらに接触しないのだ!
それが彼の原則であり、彼女も彼を困らせたくなかった。もしこの件で自分の夫である橋口俊樹に頼まないなら、どうして彼を飛び越えて鈴木越哉に話すことができるだろうか?
あれこれ考えた末、石塚千恵はとりあえず従姉に適当に対応し、まずは甥に会ってから考えることにした。