第150章 過去のことを言わないで

「ああ、彼は見るからに不正をしない人ね!」石塚千恵は一言褒め称えた。彼女が彼に頼まなくて良かった、さもなければ彼を困らせることになっただろう。

「私の甥はそこでよく訓練されているわ。あの子は前は傲慢で、誰に会っても話さなかったけど、今は前よりずっと素直になったわ!」

「それは良かった。男の子は武術を学ぶべきだ、成長にとても良いからね!」笹木蒼馬は自分の経験から言った。

石塚千恵は笑った。「私もそう思うわ、あなたを見れば分かるでしょ!」

笹木蒼馬は彼女の言葉に顔を赤らめ、大きな手で顔の半分を軽く撫でながら、小声で彼女に呟いた。「僕が軍人だったことを、いつも思い出させないでくれ!」

今回は命令口調ではなく、むしろ懇願のようだった!

彼女は不思議そうに彼を見た。「どうして?」武術を学ぶことは誇らしいことではないの?それにこれはプライバシーでもないでしょう?