第318章

彼と彼女がそれぞれの位置に着き、もつれ合いそうになった瞬間。

笹木蒼馬の電話が「プルルプルル」と鳴り響いた。

「くそっ!」笹木蒼馬は一言罵り、ポケットから電話を取り出した。「もしもし...」

「どうしたんだ?何かいいところを邪魔したか?そんな態度悪いなんて!」電話の向こう側の男性が冗談めかして尋ねた。

「ああ、かなりいいところだったよ!」笹木蒼馬も半分本気半分冗談で曖昧に答えた。

相手は彼が冗談を言っていると思ったようだ。笹木蒼馬とはどういう人物か、彼は「男として必要なこと」のために予定を変えるような人ではない。最も重要なのは、「ある種のこと」で既に決まっている計画を邪魔することは決してないということだ。

みんなの集まりは前もって決まっていたことで、彼が突然何かをして計画を台無しにすることはないだろう。