「他の人がいるの?」笹木蒼馬も明らかに驚いた様子だった。「人を見たの?」
「いいえ、ただカーテンの中に男女がいて、彼らは……!」最後の二文字を、石塚千恵は非常に言いづらそうにした。
笹木蒼馬は失笑して唇を舐めた。「あの部屋にまだ他の人がいるの?なんて偶然だ!」
「どうして笑うのよ、もう困っちゃう、絶対見られたわ!」
笹木蒼馬は少しも困った様子はなく、むしろこの経験はなかなか良いと思っていた。「見られたって別にいいじゃないか、何も困ることはないよ!」
石塚千恵はこの人がここまで厚顔無恥だとは思わなかった。さっきのことを人に見られたのに、何とも思っていないなんて。「恥ずかしくないの?私たち…………」
笹木蒼馬は全く気にしていない様子で、彼女を慰めた。「部屋はあんなに暗かったんだ、何が見えるっていうんだ?せいぜい私たちの声を少し聞かれただけだよ!」