第457章

「本当に大丈夫です！」

エレベーターに乗る前に、谷口さんは痛む膝をさすりながら、石塚千恵に申し訳なさそうに言った。「ごめんなさい、あなたの結婚生活を壊してしまって！」

「……」石塚千恵は黙って受け入れ、エレベーターのドアが閉まり、ゆっくりと下降していくのを見つめた！

もしこの谷口さんがいなければ、もし橋口俊樹が心変わりしていなければ、彼女は本当に橋口俊樹と離婚できなかったかもしれない！

もちろん、この谷口さんがいなくても、後藤さんや木下さんが現れて破壊していたかもしれないけど？

石塚千恵はゆっくりと振り返り、鈴木越哉に挨拶をして先に帰ることを伝えようと思った。彼女はすでに祝儀を渡し、笹木蒼馬と坂本愛蘭子の婚約式も見たので、退場してもいいだろう？

「石塚さんは自分の結婚生活を壊した愛人にずいぶん優しいのね。どうして？同じ運命を持つ者同士だから、共感できるの？」笹木未桜が近づいてきて、くるくるとした巻き髪をいじりながら、嘲笑うように尋ねた！