第606章 内輪もめ

坂本建二はきっぱりと拒否した。たとえ何も守れなくても、今は面子を保つことが大事だった。

坂本愛蘭子は焦って前に出て、諭すように言った。「お父さん、今は意地を張る時じゃないわ!」

坂本建二は目を細め、とても老獪な様子を見せた。「今脅されているのは私だけじゃない。笹木蒼馬だって怖いはずだろう?私たち二人は五分五分だ。なぜ私から彼を訪ねなければならないんだ?彼が和解したいなら、彼が私に会いに来るべきだ。私が彼に会いに行くのではなく!」

坂本愛蘭子は力強く首を振り、父親の考えを打ち消した。「お父さん、誰が先に誰を訪ねても同じよ。それに今の状況は確かにあなたに不利で……」

「もういい、今は私を説得する時ではない。お前が彼を説得すべき時だ!軽重の区別がつかないのか?」坂本建二は娘を厳しく制止した!

「お父さん……」

「もう言うな。私が彼を訪ねるなんて、絶対にありえない!」

坂本愛蘭子は怒って足を踏み鳴らした。「わかったわ、笹木蒼馬があなたを訪ねてくるのを待ちなさい!でもその時は、笹木蒼馬が刑務所であなたを見舞うことになるでしょうね!」

「何だと?もう一度言ってみろ?」坂本建二は目を丸くして怒った。

坂本愛蘭子は父親が脳卒中を起こすほど怒っても恐れず、思いっきり厳しい言葉を投げかけた。「私の言うことは間違ってる?今はどういう状況なの?それにお父さんは……また不適切な写真に写っているじゃない!」

「黙れ!」坂本建二は力強くテーブルを叩き、テーブルはドンドンと音を立てた。

「私は黙れるけど、他の人も黙れるの?あなたは他人の口を封じられるの?今の状況では、たとえ嘘でも本当のことにされてしまう。ましてや私から見れば本当のことなのに!」

「ただの後ろ姿だけで、どうして私だと判断できる?」

「じゃあ、本当にあなたじゃないの?」坂本愛蘭子は父親に尋ねた。

坂本建二は断固として言った。「違う!」

「私もあなたじゃないことを願うわ。でも他の人はそう思うかしら?」坂本愛蘭子はゆっくりと尋ねた。「時には白いものを黒いと言い、黒いものを白いと言うこともできるのよ!」

「彼が私のことを言うなら、私にも彼を正す証拠がある!」坂本建二は不服そうに言った。