秋山直子はゆっくりとこちらに歩いてきた。
11月近くの日差しはまだ強かったが、暑くはなかった。
大きな制服が彼女をとても痩せて見せ、なぜか冷たい印象を与えていた。
「なんで私を見てるの?」秋山直子はドアを開けて入ってくると、服部隊長と神崎木の二人が自分を見ているのに気づき、眉を上げた。
「なんでもない」神崎木は視線を外し、何でもないふりをした。
変だな。
秋山直子は彼を気にせず、中のガラスドアを押して入った。
「秋山さん、授業はないんですか?」考えた末、神崎木は彼女を見上げ、小声で尋ねた。
「ないわ、休みをもらったの」秋山直子はドアに手をかけたまま、感情なく答えた。
神崎木は頭を下げ、「ああ」と一言言って、もう秋山直子を見なくなった。何を考えているのかわからない。
彼の動きはのろのろとして少し上の空で、秋山直子にお茶を出すこともせず、何かを考えているようだった。