109 謎の沈黙に陥る(一更)

秋山直子はゆっくりとこちらに歩いてきた。

11月近くの日差しはまだ強かったが、暑くはなかった。

大きな制服が彼女をとても痩せて見せ、なぜか冷たい印象を与えていた。

「なんで私を見てるの?」秋山直子はドアを開けて入ってくると、服部隊長と神崎木の二人が自分を見ているのに気づき、眉を上げた。

「なんでもない」神崎木は視線を外し、何でもないふりをした。

変だな。

秋山直子は彼を気にせず、中のガラスドアを押して入った。

「秋山さん、授業はないんですか?」考えた末、神崎木は彼女を見上げ、小声で尋ねた。

「ないわ、休みをもらったの」秋山直子はドアに手をかけたまま、感情なく答えた。

神崎木は頭を下げ、「ああ」と一言言って、もう秋山直子を見なくなった。何を考えているのかわからない。

彼の動きはのろのろとして少し上の空で、秋山直子にお茶を出すこともせず、何かを考えているようだった。