秋山直子はあまり興味がなかった。
彼女は本をめくりながら、あまり気乗りしない様子で答えた。「わからない」
クラスの他の生徒たちも不思議に思い、新入生が来るだけなのに、橘声也のこの反応は大げさすぎるのではないか、この新入生は何か特別なのかと思った。
「声也、直子さんも来てるんだから、もう秘密にするのはやめろよ」と誰かが急かした。
橘声也は秋山直子をちらりと見て、片足を自分の椅子に乗せ、唇を曲げて笑った。「女子だ、朝倉美咲だ」
「マジかよ、彼女なのか?」
「直子さんと鬼の木村に感謝だな。彼女がいなかったら朝倉美咲が俺たちのクラスに来ることはなかっただろう」
「彼女はOSTチームと一緒に東京にいたんじゃなかったっけ?なんで俺たちの学校に?」
「たぶん受験のために戻ってきたんだろう」