135秋山直子が一束のチケットを橘声也に投げた(三更)

朝倉美咲の手は完全に凍りついた。

「どうして?なぜあなたがAエリアのチケットを持っているの?」朝倉美咲は何度も繰り返し、そのチケットを見つめた。「じゃあ私のチケットは?」

彼女は口の中でつぶやき、まるでこの事実を信じられないかのようだった。

手の力でチケットがほとんど引き裂かれそうになっていた。

森田麒太はようやく状況を理解し、一言も言わずに一歩前に出て、朝倉美咲の手からチケットを取り、秋山直子に渡した。

彼は秋山直子の目を見る勇気がなく、「直子、おじさんは...おじさんは恥ずかしく思う」と言った。

最初、彼は状況を理解していなかったため、秋山直子が先に問題を起こしたと思い、彼女を無視していた。

さらには朝倉美咲の時間を無駄にしたと彼女を責めていた。

後に罪悪感から、この問題を小さくしようとし、それが秋山直子への施しだと思い、彼の謝罪の気持ちだと考えていた。