145 彼女は右手を使っていた(一更)

橘声也は一瞬固まり、スマホを持ったままの姿勢で顔を少し上げた。「徳田さん?」

徳田月光は答えず、ただ下を向いてスマホを見ていた。

彼は杉森真琴のこの微博をしばらく見つめ、直接コメント欄に入った。

上のホットコメントに目を通すと、一番上のコメントはこうだった——

「私だけがNK小アカウントの情報を教えてくれる大物を待っているのかな?」

「本当に陽神よりも手が速い人が存在するのか?」

杉森真琴が当時投稿した微博は業界内外でどれだけの注目を集めたことか、皆がNKが誰なのかを探していた。

杉森真琴がメンションした相手が無関係な人物だとは誰も信じなかった。

情報時代のネットワークの力は強大で、ネットユーザーも驚くほど優秀だ。

しかし「NK」というこの小アカウントについては壁にぶつかってしまった。情報が見つからない、全く見つからないのだ——